黒猫の雑談部屋

日々の雑多な思いをつづります。


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プロフェッショナル徹子の部屋 9000回を超えて

徹子の部屋は、確かに生放送感があるとは思っていたものの、まさか編集を一切していないとは思わなかった。なんと9000回を超えて、未だにそのポリシーで収録を行っている。

引用元は活字中毒R。

『聞き上手は一日にしてならず』(永江朗著・新潮文庫)より。

(ライター・永江朗さんが、各界の「プロの聞き手」10人に「聞き方の秘訣」についてインタビューした本から。黒柳徹子さんの回の一部です)

永江:なぜ編集しないことにしたんですか。

黒柳:編集して面白いところだけ集めてしまうと、その方がどういう方かわからないでしょう。だって同じ言葉でも、「うーん」と考えこんで返事したことかもしれないし、即答だったかもしれない。編集で「うーん」を切っちゃったら、その方がどういう方か伝わらないでしょう? ラジオなら何十秒も音がなかったら事故ですが、テレビは「うーん」と考えていらっしゃる間、顔をうつせます。だから編集をしないためにも、打ち合わせは重要です。何回も出ていただいている方でも、必ず毎回打ち合わせをするんですよ。うんと仲のいい方でも。しないのは永六輔さんと小沢昭一さんぐらい(笑)。それと、もうひとつ、毎日編集したら、絶対に雑になりますよね。

永江:そうなんですか。

黒柳:それはそうでしょう。あんな長いものを編集したら。40分の番組を作るのに、60分録って20分カットするのは並大抵のことではありません。そんなことを毎日やっていたら絶対に雑になっちゃう。一週間に1回の番組なら面白いところだけを集めてもいいんだけど。3つめの理由は、編集すると、ゲストが「あそこをカットしてくれ」と言ったり、プロデューサーが「あそこを残したい」と言ったり、私も「ここを残して欲しい」とか、意見が合わなくなるから。それは大変ですから、とにかくナマと同じで勝負。編集はしないということを原則にしています。そうそう、編集をしないから、と、本心を話して下さるゲストも多いです。テレビ局の意志、番組の意志で、なんとでもなりますよね、編集すると。話した事、すべてそのまま出るなら、と、すべて話して下さるかたが多いのも、ナマと同じだからです。】
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確かに、編集して切り貼りして、やり取りをおもいっきりデフォルメしたほうが視聴者には伝わり易いかもしれない。ただ、伝わり易いのときちんと伝えるのは違う。デフォルメした結果、本人像とかけ離れてしまったら、そもそもその番組の価値がない、そんな信念が裏にはあるのだなぁと思った。

いち視聴者側からみていると、編集でいろいろいじれたほうが、好き勝手話してくれるのでは?と思っていたが、必ずしもゲストが全てコントロールできないのがメディアの怖いところ。そこには様々な思惑が交差し、結果的に本人の思うところとは違う方向に話が向かうこともあるということだ。現に、政治家や事業家でも、テレビなどの旧来メディアではなく、ウェブ上のサービスで自分の意見を述べるような人が少しずつ増えてきているような気がする。そこには第三者の意思が入りにくいから。



出演者2人のトーク番組を一発勝負で撮り続け、こんなにも長い期間放送している黒柳さんは本当の意味での芸人であると思う。もちろんそのために入念に事前準備をし、完全な状態で一発撮りに挑む。サッカーの本田選手ではないが、「準備が全て」なんだと改めて。仕事でもなんでも、この姿勢は見習いたいものだ。

仕事柄、ミーティングの内容を他の人に伝えたりすることは多いが、できるだけその人の発言や言動については、きちんと発言者と同じニュアンスをもって伝えられるように、ありのままを伝えらえるように、そういう意識は忘れないようにしたい。