黒猫の雑談部屋

日々の雑多な思いをつづります。


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【読書】【その1】やめないよ 三浦知良

KING KAZU

人は彼のことをこう呼ぶ。日本サッカーの発展と普及に大きな功績を残し、今なお現役選手として第一線で活躍する彼に対してぴったりの呼び名だと思う。

本書は彼のリアルタイムの手記をまとめた形になっているが、常にポジティブ。そしてそのポジティブさはカズ自身に向けられているものだと感じた。プロとしてサッカーを続けていられるのが本当に幸せで、その幸せのためならばどんな努力もする、彼のシンプルでいて非常に重厚な信念に触れることができる良書だ。文字にしてしまうとあまり伝わってこないが、実際に彼が行動として積み重ねてきた一日一日は容易に真似することはできないはずで、彼の強烈なサッカーへの執着に基づく立ち居振る舞いなのだろうなと想像するに難くない。

また、本書の中でも幾度か登場する彼なりのユーモアも、積み重ねてきたものがある男の余裕というか、遊び心を感じさせる。20代、30代ではどのような選手であったのか、すべてを知ることはできないが、少なくともテレビを通して感じていた若き日のカズのイメージとは全然違う。人間本来の身体能力としては衰えを隠せない年代(少なくともプロスポーツ選手としては)に入り、来年の契約も保障されていない世界で、この余裕を保ち続けられるのは他ならぬ過去からの積み重ね、現在も積み重ね続けている経験によるものだろうと思う。しかし、そのような状況の中で余裕を持ち続けられること自体、信じられない才能ではないかと思う。


彼のメッセージに自分と将来の自分を重ね合わせてみて、多くのことを学んだ。

プロとしてのメンタリティ
自分の仕事に対する必死さ
組織における考え方と振る舞い方
世界とは

何かで頂点を極めた人の(ご本人は極めたと言わなそうだが)景色、思いに触れられるのは非常に有難い。自分は間違いなく日本人スポーツ選手の中で彼を最も尊敬しているのだが、その理由は、彼の不器用ながらもまっすぐで強烈なプロ意識だ。

「(年々体は削れていくものの、)それでも僕はいつも、フルに90分出場できる身体を作っている。90分の出場機会を与えられたときに、どれだけ動けるか、ということを考えながら、トレーニングをしている。「どうせ試合に使われても10分くらいだから、その10分に合わせた練習をすればいいや」というふうにすればまだまだ長くやれるのかもしれないが、僕にはそんな器用なことはできない。」本書より抜粋


なにかを生業とし、プロとして給与をもらっている以上、常に全力を出し続ける、常に全力を出し続けるために練習をする、そんな彼の姿を知れば知るほど、今の自分はどうなんだろうと思ってしまう。彼のように全力でプロとしての自分を毎日毎秒磨き続けている、そんな自信を自分の中に一日でも早く持てるように精進していきたい。